1円玉,5円玉,10円玉を使ってN円をぴったり支払う方法の数
1円玉,5円玉,10円玉を使って 円をぴったり支払う方法の数を研究します.
同じことをやっている人は,ググった感じだと
組み合わせの問題です。 -(1)1円、5円、10円の硬貨をとりまぜて合計- 数学 | 教えて!goo
や
西三数学サークル通信44号
なんかがありました.
この記事では以下の定理を二通りの方法で証明します.
定理
は非負整数とする.1円玉,5円玉,10円玉を使って 円を正確に支払う方法の数は
- 非負整数を使ってと書けるとき
通り,
- 非負整数を使って と書けるとき
通り
である.
証明1.(直接数える証明)
非負整数を使ってと書けるとします.
10円玉を何個使うかで場合分けします.
10円玉を個使う場合は,払い方は1通り.
10円玉を個使う場合は,払い方は5円玉を2個,1個,0個使う場合の3通り.
10円玉を個使う場合は,払い方は5円玉を4個,3個,...,0個使う場合の5通り.
...
10円玉を個使う場合は,払い方は5円玉を 個,...,0個使う場合の 通り.
これらを合わせると,通り.
一方,非負整数を使ってと書けるとします.
10円玉を個使う場合は,払い方は5円玉を1個,0個使う場合の2通り.
10円玉を個使う場合は,払い方は5円玉を3個,2個,1個,0個使う場合の4通り.
...
10円玉を個使う場合は,払い方は5円玉を2n+1個,...,0個使う場合の2n+2通り.
これらを合わせると,通り.
(証明終)
証明2.(母関数を使う証明)
1円玉,5円玉,10円玉を使って 円を支払う方法の数は,形式的冪級数
におけるの係数です.
定理の主張は,そのの係数が,
非負整数を使ってと書けるときであり,非負整数を使って と書けるときであるというものです.
よって示すべき式は
です.
なので,この部分を右辺におしやり,さらにを新しくと書きます.
左辺を
などを使って計算すれば右辺に一致します.
(証明終)
今後の課題
1円,5円,10円,50円,100円,500円を使って円を支払う方法の数が気になります.
誰か自由研究でやってください.
追記 (2022年6月7日):この記事の続編を書きました。
上の二つとは違う、より全単射的な証明を書いています。
iwalion.hatenablog.com