数学の命題示しました

主に組合せ論について,読んだ本で出てきたことや,考えたことを書きます.

係数の和が素数であるような非負整数係数二次多項式の既約性

追記 (2023年2月4日)
三次の場合についても成り立つようです.
stack exchangeで証明を教えていただきました.
mathoverflow.net

以下本文.

定理

定数でなく,また定数項が 0でない非負整数係数の二次多項式  f(x)=ax^2+bx+cは,係数の和  a+b+c素数ならば  \mathbb{Z}上既約である.(整数の範囲で因数分解できない.)

証明

 a\neq 0のとき.

 f(x)が既約でないと仮定する.つまり整数 p,q,v,wを用いて ax^2+bx+c=(px+q)(vx+w),\quad (px+q,vx+w\neq 1)と仮定する.係数 aは正なので p vは正であるとしても一般性を失わない.また,命題の仮定より f(x) xの係数 bは非負で定数項 cは正だから
pw+qv\geq 0,\quad qw\geq 1が言えて、 p,vが正だから q,wも正である.

多項式 (px+q)(vx+w)は係数の和が素数なので, (p+q)(v+w)素数
よって p+q=1または v+w=1
条件 p,v\geq 1かつ q,w\geq 1に反するので矛盾.

 a= 0のとき.

多項式 f(x)=bx+cの係数の和 b+c素数だから, b,cは互いに素.よって bx+cを割り切る定数は 1のみ.よって既約である.

(証明終わり)

関連した予想

三次の場合についても同様の命題「定数でなく,また定数項が 0でない非負整数係数の三次多項式  f(x)=ax^3+bx^2+cx+dは,係数の和  a+b+c+d素数ならば  \mathbb{Z}上既約である.」が成り立つ気がします.
四次以上ではたぶん成り立ちません.



この定理および予想の使いみち

ある集合の母関数を積の形で書きたいとき,集合の要素数素数な場合は,母関数が四次以上の多項式になるようにしないと絶対に因数分解できません.
また,係数が全て正という特殊な条件に限られますが,テストなどで三次多項式が出てきた場合に,係数の和を見て素数だったら,因数分解しようとする無駄な努力をしなくてすみます.