数学の命題示しました

主に組合せ論について,読んだ本で出てきたことや,考えたことを書きます.

置換

置換の符号の一般化が無理だった話

置換の符号とは,対称群からへの唯一の非自明な準同型でとかきます. この置換の符号を使って,例えば行列式などが などと定義できるのでした.ここで,符号の値域をではなく,にすると,置換の符号を精密化した「一般化符号」ができて面白いんじゃないかと…

第一種スターリング数の行列式,組合せ論的証明

記事概要 本記事では以下を組合せ論的に示す. 証明は対合を構成することで行う. 具体的には例えばのときはが成り立つ. 定義や準備など 調べたところ,第二種スターリング数の行列式を考えた研究には[1]がある. また,数学質問サイトStack exchangeには第…

スターリング数の恒等式Σc(n,k)2^k=(n+1)!のシンプルな証明

前回の記事(第一種スターリング数の恒等式 Σc(n,k)2^k=(n+1)!の三通りの証明 - 数学の命題示しました)では、第一種スターリング数の恒等式 に二通りの全単射的証明をつけた。今回は、 Amazon | Proofs that Really Count: The Art of Combinatorial Proof …

第一種スターリング数の恒等式 Σc(n,k)2^k=(n+1)!の三通りの証明

追記:よりシンプルな証明を本で見つけたので、記事にしました。 iwalion.hatenablog.comツイッターで「スターリング数」で検索してみると、次のようなツイートを見かけた。第1種スターリング数(n個の数をkこの巡回列に分解する方法の場合の数)のこの性質…

サイクル数とそのq-拡張

置換をサイクル分解したとき現れるサイクルの数をサイクル数という.置換のサイクル数をとかく.この統計量について,次の式が知られいてる. (式 1) 但し,は形式的な変数であり,とする.(式 1)についてより詳しくは,Stanley (R. P. Stanley, Enumerative…

置換のMajor indexと転倒数の等分布性

major indexとは置換の統計量つまり,対称群から非負整数への写像の一種である. major indexは,以前このブログでも紹介した「置換の転倒数」と等分布であることが知られている. つまり,以下の母関数の式が成立する.(式 (1)とする.) .(参考:R. P. S…

置換の転倒数の母関数

本稿では置換の転倒数の母関数が綺麗という側面から転倒数に触れていくが,転倒数という概念自体は行列式の性質を証明するために有用であったりとか (岩瀬順一,岩瀬順一の「授業をする際のヒント --- 数学編」,転倒数を利用し、互換の積への分解を飛ばして…

第一種,第二種スターリング数

第一種および第二種スターリング数と呼ばれる数列を定義して,その組合せ論的な意味付けを紹介します.参考とした本: Martin Aigner, A course in Enumeration, GTM 238, 2007.変数の昇冪 と降冪 を と定義します. 多項式の集合とはどちらも]の基底だから…

どの数もあまり後ろへは行かないような置換の総数+行列式計算への応用

ある会社では社員が7人いて,それぞれの社員に「窓際<新人<係長<課長<部長<社長<会長」の順番でエラさに差があるポストが割り振られるそうである. ある時この会社は人事刷新をして,全員でポストを決め直すことになった.ただし,元々エラかったひと…