置換の符号の一般化が無理だった話
置換の符号とは,対称群からへの唯一の非自明な準同型でとかきます.
この置換の符号を使って,例えば行列式などが
などと定義できるのでした.
ここで,符号の値域をではなく,にすると,置換の符号を精密化した「一般化符号」ができて面白いんじゃないかと思いました.
ここでは,次のような写像を「一般化符号」と呼ぶことにしました.
- は準同型である
- に対しである.
- に対しである.
結論から言うと,そのような準同型はのとき存在しませんでした.
命題 のとき,そのような写像は存在しない.
証明:
のとき,の正規部分群はだけである.(知りませんでした...)
(group theory - Proving that $A_n$ is the only proper nontrivial normal subgroup of $S_n$, $n\geq 5$ - Mathematics Stack Exchange)
準同型の核は正規部分群なので,である.
にはならないので,終了.
(証明終わり)
今後は,準同型であるという条件を外して,他の意味で良さそうな「一般化符号」がないか考えてみようと思います.