置換の転倒数の母関数
本稿では置換の転倒数の母関数が綺麗という側面から転倒数に触れていくが,転倒数という概念自体は行列式の性質を証明するために有用であったりとか (岩瀬順一,岩瀬順一の「授業をする際のヒント --- 数学編」,転倒数を利用し、互換の積への分解を飛ばして行列式を導入する),置換の集合に距離を入れるために使ったりするらしい (萩原学,ポストモダン符号理論としてのネットワーク,置換,形式化3:置換符号,応用数理 26(2), 27-32, 2016).
置換の転倒数の母関数に関する参考文献は,(Stanley,Enumerative Combinatorics volume 1 second edition,p. 36,2011)を参照.
転倒数に関する分かりやすい動画は,龍孫江の「群論:置換の転倒数」https://www.youtube.com/watch?v=LXlXGWGmItg&feature=youtu.beを参照せよ.
転倒数の母関数
定義 (転倒数)
文字の置換に対して,非負整数を
と定め,の転倒数という.
以下のように,転倒数の母関数は積表示を持つことが知られている.
(式1とする.)
本稿ではこの式 (1)の全単射的証明をしたあと,母関数の精密化を試みる.
式 (1)で表される多項式は「の-階乗」と呼ばれ,と書かれることがある.