添字の動く範囲にminが絡むある和について
以下の命題の代数的証明と組合せ論的証明を紹介する.また,組合せ論的証明に基づいてパラメータを増やす拡張を行う.
定理
自然数について
が成立する.
上式左辺は,添字が動く範囲がだということを表す.
また右辺は,-解析の記号を使うとと書ける.
代数的証明
twitterにて証明を募集したところ,NKSさん (@nkswtr1)が教えてくれた証明を紹介する.
https://twitter.com/nkswtr1/status/1451845616653402114
この証明では,和の順番を入れ替えてまず添字に関しての和と見ることがポイントだったようだ.
(証明終わり)
組合せ論的証明
右辺の分母を左辺に持ってきた形
を示す.
整数の個組の二つの集合を
と定義する.
式を示すには,全単射
であって,
(式1):
を満たすものを作ればよい.
全単射は次のように作る.
に対して,
と定める.
つまり,列の後ろから番目の位置にを挿入し,それより後ろはすべてするということである.
この対応は全単射的である.なぜならば,できた列の中で一番小さい要素のうち一番右にあるものがとして挿入されたものだと分かるからである.
またこの対応は(式1)を満たす.
(証明終わり)
組合せ論に基づく拡張
組合せ論的証明をよく見ると追加のパラメータとしてを入れた次の拡張ができる.
定理
自然数について
が成立する.
この式は,全てのをとすると元の式に戻る.
証明
(右辺)
ここで全単射を使ってからにうつすと
=(左辺)
(証明終わり)
蛇足
和の変数を増やす違う拡張もやってみました
昨日のやつがウケがよかったから拡張版も作った
— 岩 (@iwalion) 2021年10月24日
添字の動く範囲の上限が
i_0,…,i_{r-1},j_0,…,j_{c-1}
で連続してるように見えて、実は一個開いてるのがチャームポイント pic.twitter.com/IXI2iKj3jo