数学の命題示しました

主に組合せ論について,読んだ本で出てきたことや,考えたことを書きます.

六角形をつないだ領域のひし形タイル張り

三角格子上の平行六角形は,大きさに関わらずひし形タイル張りができることが知られている [1].
例えば,下図左の赤で示された領域は右のようなひし形タイル張りが可能である.

なので当然,任意の平行六角形に含まれる上向きの三角形△の数と下向きの三角形▽の数は等しい.

本記事では,平行六角形と別の領域とを辺でつなぎ合わせて作った領域のひし形タイル張りの数がどうなるかを二通り考え,それをもとに具体例を紹介する.



補題

平行六角形 Hの一辺(の一部)と別の領域 Xをつなぎ合わせた領域のひし形タイル張りの数は, Hのタイル張りの数と Xのタイル張りの数の積に等しい.

考えているのは例えば下図のような状況である.

証明

 H Xにまたがって貼られるひし形が無いことを言えばよい.
タイルのある貼り方において, H Xにまたがるひし形を全て取り除き,残ったひし形たちからなる領域を考える,
その領域と Hの共通部分はひし形で覆えるはずであるが,もし, H Xにまたがるひし形が一つでも存在するならば,共通部分は上向き三角形よりも下向き三角形が少なくなるので,ひし形で覆うことは不可能となる.
(証明終わり)

下図は,補題1の証明の状況を描いた図である.
 H Xにまたがって張られるひし形は, Hの「下向き三角形」と, Xの「上向き三角形」をくっつけたものであることがわかるだろう.(図中の青いひし形を見よ.)

補題

平行六角形 Hの頂点を時計回りに H_1,H_2,\ldots,H_6とする.辺 H_1H_2に別の領域 Xをつなぎ,辺 H_3H_4に別の領域 Yをつないで新しい領域を作る.
この領域のひし形タイル張りの数は,領域 H,X,Yのタイル張りの数の積に等しい.

証明

補題1と殆ど同じである.
 H X H Yにまたがるひし形タイルが置けないことを言えばよい.
そのようなタイルは Hの下向き三角形▽だけを使うことになるので, Hの残った部分は上向きと下向きの数が合わず,ひし形で覆うことができない.
(証明終わり)

下図左は,補題2の状況を示す図で,右は証明の状況を示す図である.(領域 X Yは下の方で繋がっていても良い.)




応用例

以下では,領域 Xのひし形タイル張りの数を M(X)とかく.

例1


証明

補題1を使う.

(証明終わり)

例2


証明

補題2を使う.

(証明終わり)

参考文献
[1]
www.sciencedirect.com