菱形タイル張り その1
上向きの正三角形△と下向きの正三角形▽をつなぎ合わせて作る,下図の赤い部分で表される領域を考える.
この領域は,
△▽△▽△▽△▽△▽△▽△
▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽
みたいなやつを縦に積み重ねたものである.そこで,「底辺」に含まれる下向き三角形▽の数を,積み重ねた段の数をとして,
この領域をと書くことにする.
図の領域はである.
これから領域の菱形タイル張りの方法の数を考える.
菱形タイル張りとは,単位正三角形2つを辺でつなぎ合わせて作る「菱形のタイル」で領域を埋め尽くすことである.
例えば,次の図はの菱形タイル張りの例である.
上の例は,タイルのやや特殊な貼り方に見えるが,実はそうではない.領域には,上図のような貼り方しかないというのが今日示すことである.
命題
領域を菱形タイル張りする方法の数は,通りである.
これを示すために,2つの補題を示す.
補題1
領域の菱形タイル張りにおいて,「層と層にまたがる位置」に,縦向きの菱形を置くことはできない.
つまり言いたいことは,下図の状況がありえないということである.
補題1の証明
領域を菱形タイルで埋め尽くしたとき,「層と層にまたがる位置」に,縦向きの菱形があったとする.
そのような縦向きの菱形のうち,一番下にあるものをとする.
の四辺のうち,右下の辺をとする.辺に接しているでない方の菱形をとし,辺の対辺をとする.
同様にして辺に接して置かれているでない方の菱形をとし,辺の対辺をとすることを繰り返すと,ある辺は領域の境界の一部となる.
また,は一番下にあるということから,その辺は,菱形と同じ「層」にある事がわかる.
例えば,次の図のようになるわけである.
これを,菱形の左側に対しても行うと,領域を二つの部分に分断する菱形の列が現れる.
例えば,下図のような感じである.この列において以外の菱形は,ある「層」に完全に含まれることに注意せよ.
領域が菱形タイル張りできるためには,二つに分断された「上側」と「下側」がそれぞれ菱形タイル張りできる必要があるが,
例えば「下側」の領域は上図でもわかる通り,上向きの三角形△の数と下向きの三角形▽の数が1だけ違うので,菱形タイル張りすることは不可能である.
(証明終わり.)
命題の証明
補題1より,層と層にまたがる菱形は置けないので,それぞれの「層」ごとに菱形の置き方を独立に考えればよい,
よって,
.
(証明終わり.)